ストラック

僕たち07が社会に放り出されてからもうすぐ丸4年の月日が経とうとしている。おkmrが辞め、tkdが辞め、krsw(黒くない方)が辞め、そしてtんkは太った。他の民間組は今の生活に満足しているのかどうなのか、泥まみれで沼の中を必死に泳いでいる。なぜそこで退職しない?退職できないのか?退職したくないのか?退職する度胸もないのか?

僕もそうであったかもしれない、これまでは。月アタマの忙しい時期さえ抜ければ19時、遅くとも20時には退社でき、残業代も入る。今この一瞬だけを切り取れば「公務員を叩いてる割には一番稼いでいる」という罵りも一部当たっているのかもしれないが、最近の状況を見るとさすがの僕ももう無理という感じになってきた。これ以上何十年もここで働くことはもう考えられない。

いよいよ僕にもその時がやってきたのだろうか。別に公務員様を目指すわけではないし(これだけ公務員組を叩いて自分が公務員になるほどの非常識さは持ちあわせていない)、いきなり退職というわけにもいかないのでちょっとずつ車云シ舌を始めていく。これ以上弊社で働くと感情を完全に抜かれてしまうので急を要しているのは確かだが、変な人対策で家賃が上がっているので不労期間が長いとそれを払えず死んでしまう。弊社の仕事は適当にこなしながら(これができないからもう無理と言っているのであって若干矛盾を感じるが)うまく時間を見つけてやっていくしかないだろう。

この心境の変化はどこから来たのだろうか。一言で言ってしまえば「弊社が嫌いになった」のである。これ以上僕の労働力が弊社に落ちることが許せなくなった。内部事情をあんまり書くのもあれだが、どうせ当ブログはグリークラ ブ関係者にしか読まれていないのでどうでもいい。ご存知の通り弊社は今年の4月に御社と完全統合し新しい弊社として生まれ変わる。合併に際しゴタゴタが生じ忙しくなるのは普通なのではないか、という声が飛んできそうだが実際のところはそう簡単な話ではない。忙しくなるだけなら別に構わないし、だいいち僕の入社当時の方が明らかに忙しかった(現にキャリアハイの残業時間は2011年の9月だか10月に記録しており今日に至るまでそれを超えられていない)。

弊社は創立20年、管理部門においても平均年齢は30歳ほどという自称若い会社だが、高くない業界シェアの中まったりと暮らしている、親会社がアレなので統制に厳しく管理・会計には強い。御社はというと社歴は倍以上で、管理部門ともなると定年間近の平社員がゴロゴロしている、業界の黎明期を駆け抜けてきた上位企業、無論収益力は高く数字を上げるためならば手段は選ばない、といった風潮。この2社が統合して、「弊社のフレッシュさや整備された管理体制、御社の規模や影響力、営業力」を兼ね備えた業界最強企業が誕生する。

…はずだった。だいたいの人は予想出来ていたのだが、管理職がよく使いたがるシナジー()とかいうやつは結局陽の目を見ることなく、少しでも数字を上げたい御社と弊社の統制ルールがせめぎあい、御社で出世できず使い道のなくなった老人が弊社の未来ある若者のポストを奪い始めるという、世にも見事な逆シナジーが生まれてしまった。現在当部署では50を過ぎた弱そうな老人が入社2年目の専門卒女子にキレられながら仕事を教わっている状態である。しかもこれで給料は向こうのほうが圧倒的に高いというのだから僕が窓に向かって飛び込むのも無理はないだろう。

この業界、エライ会社からお小遣いをもらうことで収益を得る手数料ビジネスなので、既得権益や保身といった言葉がキーワードになる。合併に際し「お互いの出自は忘れて」「共に新会社を創る意識で」などといったことが盛んに言われるが、成長著しく従業員にも意欲溢れるベンチャーならともかく、重苦しい閉塞感に包まれた当業界では土台無理な話である。御社は余計な荷物が増えたと思っているだろうし、弊社もこれからは使い捨ての時代が来るのだろうと感じている。

上司は「うだうだ言わんと新しい会社に入ったと思わんか」と言うがその新会社が好きになれないのだからしょうがない。管理体制の強化を標榜する割に人員削減が進み、完全に姥捨て山と化している今の状況では僕ぐらいの年齢の人間が一番損をする。方針が見えない中で、あってないような目標に向かっていいからとにかく走れと鞭を打たれながら「君はこれからの会社を背負う人間だから頑張ってくれ」と言われて一体誰が頑張れるというのだろうか?最初からこうだったならまだ分からなかったが、良くなるべきところで現状維持どころかより悪くなってしまったのは労働意欲と希望を奪うに十分だ。

一方でひとつ上の世代である30〜30代半ばの人間からはもはや諦めの言葉しか聞こえない。今さら転職できない、俺は文句を言いながらここにしがみつく、と。どうも実際今の部署で本気で辞めたいと思っているのは僕だけらしい。40を超えた管理職はポストも保証されだいたい満足しているだろうし、女性はつらくなったら辞めればいい。「未来は見えないけど、まあ仕方がない」という末期症状のような空気に支配された場所にいると、自分の考えまでそれに引きずられてしまう。入社から今まで転職を考えるも自席に座っているとその空気に流されてやっぱりいいか、となることが3回ぐらいあった。現在の安定とリスクを秤にかけた結果だったのだろうが、最近は先行き不安から安定性が揺らいでおり、後ろ髪を引かれるようなことはほとんどなくなった。

この件は僕の意識が高まったのではなく、危機感と焦燥感と後悔によるものだ。高校受験の失敗は大学受験で取り戻せばよく、大学受験の失敗は就活で取り戻せばよかったが、就職の失敗(弊社への就職は別に失敗ではなかったのだが…)を取り戻すチャンスはもう間もなく消える(この記述は根底に上述の先輩と同じような考え方が僕にも流れていることの証なのだろうが、僕はまだその年齢にはないことが幸いであった)。動けるのならば動けるうちに動いておきたいという思いである。

引き取り手が見つからないようなら僕は親指を立てながら潔く新会社の海に沈んでいくことだろう。ポケットの中のくじが当たりなのか外れなのか、それぐらいは確認させてくれてもいいのではないか、と思っている。