現実は甘くない

毎日同じことを繰り返し、カップ麺を食べる、寝る。循環合宿と呼ぶにふさわしいどうしようもないイベントは、俺の全身に5箇所の打撲を残し無事幕を閉じた。うまいこと言おうとして失敗する典型例だ。先日ほるすに行った日に、富士の祭典さんが「今さらこのメンバーで合宿やっても全然ワクワクしないよ」などと言っていたため俺も初日に似たような趣旨の発言をしてみると意外と賛同が得られた。3年目からどうしようもない奴らである。にしても合宿で何をしたかよく思い出せない。記憶に残ったと言えば2男で松屋フーズに対してテロを仕掛けに行ったことぐらいだ。あの20席ほどの狭い店内が8割方埋まってしまった。店長が一人で回していたようだが天災だと思って諦めてもらうしかあるまい。俺は空気を読んで豚めし。しかし本当に空気を読んだのは松屋に来なかった人間であることは言うまでもない。

今日がバレンタインデーであることを認識している2男は多くなかった。合宿終了翌日に学年練などというふざけたスケジュールであったが、チョコをもらうために来たという人間は俺が知る限りではおらず、「俺は今日十六を食うためだけにここに来た」という意見が多くを占めた。近年のメディアによる商業戦略も相まって、そこには義理や情さえも姿を消し、グリー男声に何かをあげようという人は数少なくなった。女声練習部屋にはカカオの香りが充満し、特に混声練に向けてやる気も出ずに扉を開けた2男の残り少ないやる気さえも甘い香りと共にウィリホ地上へと昇っていった。