寝よう

「今日はお酒を飲んで寝よう!」
三禁は偉い指揮者の鶴の一言で一瞬にして葬られた。分かっていらっしゃる、指揮者とはまた識者でなければならない。意味の無い苦行は苦行でしかないのだ。まあ、僕は基本飲まないけど。

ある団員の「本番前日に練習があるのはおかしい。むしろ前夜祭でもやって気分を高めようではないか」という主張により、最近トクホ指定を受けた(ことになっている)フジマルを食いに行くこととなった。

今日は雨で寒かった。それを理由に多くの3男が帰路につく中、俺とysd糞とtんk糞はオレンジ色のひさしを目指し、雨の中歩き出した(ちなみにysd糞はチャリだったので歩き出したという表現は妥当ではない)。店に並びはなかった。10時前という普段からあまり人のいない時間帯である上にこの天気を足せば当然といえば当然である。僕らはベンチの前に並んで立った。粒の小さい雨は風の影響を受けやすく、傘をかいくぐって服を濡らしてくる。寒い。それでも後ろに一人増えた。

その時だった。目の前に一人の男が現れたのだ。僕らはそれぞれ自分の目を疑った。傘を持たず、頭の先から足の先まで濡れに濡れてまでフジマルへひとりで歩いてきたのであろうその男は、かつてこの店でヒーローとなったセカンドの(本人の名誉のために名は伏せておきます)その人だった。根性は認めるのだが、演奏会前日の糞寒い雨の日に傘を差さずに一駅以上歩くという感覚は理解に苦しむ。しかも彼は何食わぬ顔で僕らの場所に合流したが、「あ、後ろ並んでるよ」の一言にすごすごと一般人の後ろに並び直した。優しくない3男である。

食べた後はすぐ帰ってきてしまったため、その後どうなったのかは定かではない。しかし、彼は歴史に名を刻むことは間違いない。僕が多用する「ゆとりの壁」の代表格というどころかその領域すらも超越している。僕らの力ではどうすることもできない。

そうして100回はすぐそこまでやってきたのだった。早く明後日がくればいいのにね。